SSブログ

新井 祥 「性別が、ない!」 [BOOKS]

性別が、ない!性別が、ない!
新井 祥

ぶんか社 2005-09-30
売り上げランキング : 23357
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
性別が、ない! 2 (2)性別が、ない! 2 (2)
新井 祥

ぶんか社 2006-05-31
売り上げランキング : 20533
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 私も社会で働く女性のひとりとして、「性差別」や「ジェンダー問題」には割と関心を持っている方なのですが。
昨今のジェンダー問題・フェミニズム問題は単なる「男性対女性」の構図から大きく変化しています。

 この漫画は、女性として暮らしてきた作者が、30歳のとき染色体検査で「半陰陽(インターセックス)」だと判明してからの実体験を元に描いたものです。性別は中性ですが、社会的には現在、男性として作家活動をしています。
 「性のマイノリティ」としての実体験を描いた作品は、デリケートな問題を扱っているだけに深刻になりがちですが、この作品は「あれっ?」と思うくらいにからっと明るく、作者自身やまわりを取り巻く人々のエピソードが語られます。手術の話など結構エグイところもありますが、もともと「本当にあった笑える話」という雑誌での連載ですので、あくまで明るく読める漫画です。
 それでいて、読者に「性差ってなんだろう?」と問題意識を起こさせるようなところが随所にあるのがすごい。
 
 「生物的な性差(セックス)」と「社会的性差(ジェンダー)」、「ジェンダー・アイデンティティ(自覚的な性別)」などなど、ひと口に「性差」といってもいろいろあるわけです。私もまだ勉強中ですが……。
 「たくさんの男と少しの女で構成されている」昭和な男性社会が、社会の規範ではありません。
 そんな、きっと当たり前のことに気づくために。
 これは広く読まれていい漫画だと思うなあ。お勧めです。


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。