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庄司 タカヒト 「接客の魔法」 [BOOKS]

接客の魔法 プロマジシャンが明かすコミュニケーションの技術 (アスキー新書 24) (アスキー新書 24) (アスキー新書 24)接客の魔法 プロマジシャンが明かすコミュニケーションの技術 (アスキー新書 24) (アスキー新書 24) (アスキー新書 24)
庄司 タカヒト

アスキー 2007-08-10
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プロマジシャン庄司タカヒト氏の、10年以上に及ぶテーブルホップの経験から来る接客のコツが語られています。

とにかく実例が豊富! 世の中にはいろんな人がいるものねえ、と感心します。
たくさんの現場を経験されている庄司さんならではの、さまざまなエピソードが次々と出てきます。

こちらは誉めているつもりの言葉に激怒されたり、心無い言葉を浴びせられたり。逆に、すげなくマジックを断ったお客様が、帰りがけに「ごめんね」と声をかけてきたり。

「接客する側」「される側」につい分けて考えてしまうけれど、どちらも同じ「感情を持った人間」であることに気づかされます。
当たり前だけど、忘れがちなことかもしれません。

接客に携わる人だけでなく、知人・友人を含め、人と接するすべての人にとって、面白く読める本だと思います。
「相手のことを考えた言動」という、大人ならば当たり前のことを、豊富な実例で「気づき」に転じて提供してくれます。

たぶん、この中の実例の中で必ず1、2個は、自らの身につまされることがあるはず。
誰だって、「あの時こうすればよかった」と後悔することがあるものでしょう?
次に失敗しないためのヒントがきっとあります。

ついでに。この本の文章も、すごく気を使って書かれているのでした。
Blogで、すぐ揚げ足を取られてコメントされてしまう方は必読じゃないかしら。
「人の気を悪くしない文章」のお手本です。
正直私は、ここに一番感心してしまいました。ちょっと本筋からは外れてしまいますけれど……。

内容しかり、文章しかり、いろいろ盗みたいところがたくさんある本でした。
おススメ。


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唐沢 俊一・ソルボンヌ K子 「三丁目の猟奇」 [BOOKS]

三丁目の猟奇三丁目の猟奇
唐沢 俊一 ソルボンヌ K子

ミリオン出版 2007-03-01
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気持ち悪いものが苦手な人にはお薦めできないのですが……。
私は嫌いじゃないんです、こういうの。昭和の猟奇事件に興味がある人の入門書として、とても読みやすくて面白いエッセイ漫画です。
映画や小説にも取り上げられている有名な事件がたくさん出ていますので、「裏の一般教養」をつけるのにはよろしいかと。

もっと気持ち悪くて大丈夫な人には、同じ著者の「大猟奇」がお薦め。
かなりエグイ話満載です。

大猟奇大猟奇
唐沢 俊一 ソルボンヌK子

幻冬舎 1998-10
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ジム・ステインメイヤー 「ゾウを消せ----天才マジシャンたちの黄金時代」 [BOOKS]

ゾウを消せ----天才マジシャンたちの黄金時代ゾウを消せ----天才マジシャンたちの黄金時代
ジム・ステインメイヤー 飯泉 恵美子

河出書房新社 2006-02-11
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19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したマジシャンたちの歴史を紐解き、「アートとしてのマジック」を解説しています。

マジックの歴史書としての価値もさることながら、マジックを魔法にするためにマジシャンたちがいかに腐心してきたかという、いわばマジック哲学が詳細に解説されていて、すごく興味深い。

観客の観察力をどう捕らえてステージを構成するか。セリフの嘘をできるだけ少なくするための気遣い。あるマジシャンの考え方とその良い点・悪い点を指摘し、次世代のマジシャンがどう改良していったか……。
などなど、一章ずつ取り上げてマジック仲間で輪講したいようなエピソードが盛りだくさんです。
付箋を貼りながら、熟読してしまいました。

読み物としても面白いし、人前でマジックを演じることがある人にとっては、絶対得るものがある本。
意外にマジック関係サイトでの紹介が少ないようなので、ここで声を大にして紹介しちゃいます。

絶対おススメ!


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篠田 真由美  「建築探偵 桜井京介の事件簿」 [BOOKS]

最近、まとめていろいろ読んだ中で面白かったもの。
以前から気になっていた「建築探偵」シリーズの最初の4冊を続けて読んでみました。

長いシリーズになってるものって、刊行と同時進行で読んでないとなかなか手を出しにくいんですよね。
でも、私好みのシリーズでした。

未明の家未明の家
篠田 真由美

講談社 2000-01
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まずは一作目。「建築探偵」なんていうシリーズ名なので、ゴチックな舘物かと思ってしまいましたが(そういう部分もありますが)、意外と読みやすいユニット探偵もの。
旧家の大家族に起こった悲劇などモチーフにしていて、ちょっと懐かしい雰囲気もあります。
ネタバレになるので詳しくは書けませんが、クライマックスの謎解きシーンは大変ビジュアルで美しい。
すごく大胆であり得ないような設定ですが、世界観にマッチしていて妙な説得力があります。「ルパン三世」ぽいな、と私は思いました。


玄い女神―建築探偵桜井京介の事件簿玄い女神―建築探偵桜井京介の事件簿
篠田 真由美

講談社 2000-07
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一作目とうって変わって、かなり重い雰囲気のお話。
10年前、インド旅行中に男が「密室死」した。10年の時がたち、男の恋人は当時の旅行仲間たちを山荘に誘う。あの時の真相を探るために。そして、さらなる悲劇が起こる。
いわゆる吹雪の山荘もの(吹雪じゃないけど、孤立状態という意味で)。
真実の重苦しさも、解決編のどんでん返しと意外な真相も鮮やかで、4冊読んだ中では、一番これが好きです。


翡翠の城―建築探偵桜井京介の事件簿翡翠の城―建築探偵桜井京介の事件簿
篠田 真由美

講談社 1995-11
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前2作のインパクトに比べるとかなりまっとうな舘物。
明治時代から続く伝統のホテルを経営する一族の内紛。創業者の娘である95歳の老女が住む館を取り壊そうとする者たち、そして一族の争い。舘に潜む謎とは一体……?
本格の舘ミステリとして、直球な印象です。とても面白かったのですが、途中でいくつか謎の検討がついてしまった……。
気持ちよく騙されることができなかった自分が悔しい。
でも、舘好きな方にはお勧めかも。


灰色の砦灰色の砦
篠田 真由美

講談社 1996-07
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主役ユニットのうちメインの2人が大学に入りたての頃のお話。古い学生寮での共同生活の雰囲気が良く出ていて楽しそうで、それだけにラストが切ないです。
ラストエピソードのひとつはあまりにやりきれない。
すべてが過去の事なんだ……という話にしていてくれなかったら、ちょっとつらすぎました。そのあたり、構成がうまいです。


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W・ハルトゥング 「中世の旅芸人 奇術師・詩人・楽士」 [BOOKS]

中世の旅芸人―奇術師・詩人・楽士中世の旅芸人―奇術師・詩人・楽士
ヴォルフガング ハルトゥング Wolfgang Hartung 井本 〓二

法政大学出版局 2006-12
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11~14世紀ごろのヨーロッパに存在した「旅芸人」について書かれた本です。
音楽家、詩人、役者、曲芸師のいずれか、あるいはすべてをこなし、路上をさまよい、時には王侯貴族に仕えて生活していた人々。定住して暮らす市民とは一線を画するマージナルな存在としての旅芸人について、その生活様式やメンタリティを文献(主に叙事詩)を読み解きながら論じています。

読み物ではなく学術書なので読みやすいとは言えませんが、章ごとに独立した事象を扱っているので、興味のある章から拾い読みできます。
「芸人としての女性」「芸人の組織化」あたりが私は興味深かった。旅芸人を束ねる"芸人王"というリーダーがいたり、"兄弟会"なんていう団体があったそうです。

そもそも、奇術師についての話が書いてあるかな、と思って読んだのですが、それほど書いてありませんでした。
「魔術」という言葉で時々出てはきますが、独立して奇術師について書かれた部分はありません。
そこがまた、奇術や曲芸やほかの芸の境界があいまいだった時代を感じさせるところではありますが。


新井 祥 「性別が、ない!」 [BOOKS]

性別が、ない!性別が、ない!
新井 祥

ぶんか社 2005-09-30
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性別が、ない! 2 (2)性別が、ない! 2 (2)
新井 祥

ぶんか社 2006-05-31
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 私も社会で働く女性のひとりとして、「性差別」や「ジェンダー問題」には割と関心を持っている方なのですが。
昨今のジェンダー問題・フェミニズム問題は単なる「男性対女性」の構図から大きく変化しています。

 この漫画は、女性として暮らしてきた作者が、30歳のとき染色体検査で「半陰陽(インターセックス)」だと判明してからの実体験を元に描いたものです。性別は中性ですが、社会的には現在、男性として作家活動をしています。
 「性のマイノリティ」としての実体験を描いた作品は、デリケートな問題を扱っているだけに深刻になりがちですが、この作品は「あれっ?」と思うくらいにからっと明るく、作者自身やまわりを取り巻く人々のエピソードが語られます。手術の話など結構エグイところもありますが、もともと「本当にあった笑える話」という雑誌での連載ですので、あくまで明るく読める漫画です。
 それでいて、読者に「性差ってなんだろう?」と問題意識を起こさせるようなところが随所にあるのがすごい。
 
 「生物的な性差(セックス)」と「社会的性差(ジェンダー)」、「ジェンダー・アイデンティティ(自覚的な性別)」などなど、ひと口に「性差」といってもいろいろあるわけです。私もまだ勉強中ですが……。
 「たくさんの男と少しの女で構成されている」昭和な男性社会が、社会の規範ではありません。
 そんな、きっと当たり前のことに気づくために。
 これは広く読まれていい漫画だと思うなあ。お勧めです。


芳崎せいむ 「金魚屋古書店」 [BOOKS]

以前ご紹介した、金魚屋古書店出納帳の続編。

どんな漫画でも見つかる伝説の古本屋「金魚屋」をめぐる、漫画を心から愛する人々の物語。
それはとりもなおさず、私たち一人一人の物語でもあります。
取り上げられているのは誰もが知っているメジャーな漫画(「銀河鉄道999」や「セーラームーン」)もあれば、すごくマニアックな漫画や、ひとりの漫画家の作品すべての場合もあります。

既読のものは読み返したくなるし、未読のものは探したくなる。
そんな作品群です。

この世に漫画が、本がなかったら、どれだけ人生味気なかったかなあ……と、ちょっとぞっとしてみたり。
これまで出会ったすべての本に、感謝。

金魚屋古書店 3 (3)

金魚屋古書店 3 (3)

  • 作者: 芳崎 せいむ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2006/03/30
  • メディア: コミック

現在3巻まで発刊。今月末に第4巻が刊行されます。


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